金属粉末射出成形法, バインダ, 脱バインダ, 焼結, 粉末特性, 合金工具鋼, ガスアトマイズ粉末, 抗折力
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金属粉末射出成形法による焼結合金工具鋼の組織および機械的性質に及ぼす粉末特性の影響
発売日:[2026/9/17]
1. 緒言
金属粉末射出成形法(MIM)は,金属粉末とバインダを混合・混練し,金型に射出成形を行い,バインダを除去し焼結するプロセスである.このプロセスでは3次元的な複雑形状の部品が精度良く製造できるという利点を有しており,種々の金属材料の成形加工に幅広く活用されてきている.合金工具鋼は熱処理を施すことにより優れた硬さを得ることができる鋼種として,切削工具材や金型材などに幅広く適用されている.合金工具鋼は難削材であり,鋳造材では結晶粒界に層状炭化物が形成し易く,機械的性質が劣化するという欠点がある.このような難加工材の合金工具鋼をニア・ネット・シェイプで加工できれば,一層の応用が期待できる.本研究では,合金工具鋼の中でもよく用いられる高炭素,高クロム材のSKD11について水アトマイズ粉末とガスアトマイズ粉末を用い,両者の粉末特性が焼結体の密度と組織さらに機械的性質に及ぼす影響について検討をした.
2. 試料および実験方法
原料粉末にはSKD11の水アトマイズ(WA)粉末およびガスアトマイズ(GA)粉末を用いた.酸素含有量は水アトマイズ粉末では0.24mass%であり,ガスアトマイズ粉末では0.06mass%である.平均粒径は水アトマイズ粉末では10μm,ガスアトマイズ粉末では11.36μmである.これらの粉末をポリアミド系バインダと混合・混練し,抗折試験片用金型に射出成形機を用い成形した.それらの成形体を大気中で593Kに加熱して脱バインダを行った後,真空焼結炉を用い真空中で焼結温度1473K,1478Kおよび1483Kで焼結を行った.熱処理は,組織を均一化するために温度1173Kで保持時間10.8ksで炉冷により焼なまし処理を行い,温度1293KからN2ガスにより強制冷却することにより焼入れ処理を行った.その後,温度453K,543Kおよび803Kで焼もどし処理後空冷を行った.焼結体の密度はアルキメデス法により測定した.焼結体の組織は腐食後に金属顕微鏡により観察した.抗折試験はインストロン試験機を用い,クロスヘッド速度を8.33×10-6m/sで試験した.硬さはロックウェル硬度計を用い,Cスケールにより測定した.
4. 結言
本研究では,合金工具鋼(SKD11)のガスアトマイズ粉末と水アトマイズ粉末を用いて,粉末特性が射出成形による焼結体の組織および機械的性質に及ぼす影響について検討した.得られた結果は次のとおりである.
(1)ガスアトマイズ粉末焼結体の方が水アトマイズ粉末焼結体より低い温度で緻密化した.
(2)硬さは焼もどし温度の上昇に伴って低下し,焼もどし温度543Kではガスアトマイズ粉末焼結体では溶製材のJIS規格HRC58以上の値を示した.
(3)ガスアトマイズ粉末焼結体の抗折力はすべての焼もどし温度で3000MPa以上の値を示し,水アトマイズ粉末の抗折力より約500MPa高い値を示した.
(4)焼結条件や熱処理条件をコントロールすることにより溶製材に匹敵する機械的性質を有する合金工具鋼(SKD11)を作製することができた.
深セン市御嘉鑫科技株式会社