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粉末冶金含油軸受|気孔率·含油率·PV値で選ぶ自潤滑軸受-御嘉鑫


 

発売日:[2026/9/18]
 

粉末冶金含油軸受の選び方:多孔質構造が無給油軸受になるまで

粉末冶金含油軸受とは、金属粉末を加圧成形して焼結した多孔質体に、真空含浸で潤滑油を含ませた自潤滑すべり軸受です。連通した気孔が油だまりになり、回転時の摩擦熱で油がにじみ出して油膜を作り、停止後は毛細管現象で気孔に戻ります。中速・中荷重の条件なら、長期間にわたって無給油で運転できます。

同じ軸受でも、ファンモータでは10万時間動き、重荷重装置では数千時間で圧壊します。軸受は同じです。使用条件が軸受の能力範囲に収まっているかどうかです。

モータや駆動部の軸受を選ぶとき、判断の軸は4点に集約されます。気孔がどのように油だまりになるか、CuSn10青銅と鉄基材料をどう使い分けるか、含油率とPV値をどう検証するか、組付けで守るべきルールは何か。御嘉鑫科技は1998年から家電・自動車・電動工具向けに精密粉末冶金部品を供給し、プレス・焼結・含油を同一拠点で行っています。

重要なポイント

  • 青銅軸受の気孔率は一般に19-25% vol、含油率は18-25% volで、これが自潤滑能力の源です。
  • ラジアル圧壊強度は青銅で150 MPa以上、鉄基で200 MPa以上が目安です。
  • PV値は選定の境界条件で、青銅の連続使用は約1.6-1.8 N/mm²·m/s、超えると油膜が切れます。
  • 軸硬さはHRC45以上、粗さRa 0.2-0.8 μmが目安。圧入は外輪のみ、溶剤洗浄は厳禁です。

なぜ無給油で済むのか:多孔質構造から考える

一般的なすべり軸受は、外部の油路やグリースカップから油を供給し、供給が止まった瞬間から摩耗が始まります。これに対し、焼結軸受は油を自分の内部に持ちます。焼結後に残る連通気孔が油だまりになり、含浸で油が基材に封じ込まれるため、外部配管が要りません。

ここで誤解を1つ整理します。無給油は「油が尽きない」という意味ではありません。油の量は出荷時に決まっており、それと引き換えに得られるのは給油周期の管理が不要という点です。当社の納入実績では、間欠運転で10万時間超、連続運転で1万から3万時間としており、PV値・温度・粉じんが許容範囲にあることが前提です。

粉末冶金の工程全体を先に押さえたい場合は、粉末冶金 六大コア工法の概要から確認できます。

粉末冶金含油軸受の仕組み:気孔の油だまり・ポンプ作用・毛細管還流

潤滑は閉じた循環です。次の3段階を押さえると、選定に使う数値の意味が見えてきます。

  • 回転時:摩擦熱で油が膨張し、軸のポンプ作用で気孔から摩擦面へ押し出されて油膜を作ります。
  • 停止時:温度が下がり、毛細管現象で油が気孔へ戻ります。
  • 長期:油膜の供給と気孔への回収が交互に起こり、軸受は多くの時間を混合潤滑で過ごします。完全な流体潤滑ではありません。

混合潤滑である以上、低速・軽荷重では供給圧が足りず、軸と軸受が直接接触して摩擦と温度上昇が進みます。含油軸受に最低回転数と最低荷重の目安があるのはこのためで、遅ければ良いわけではありません。

材料とグレードの選び方:CuSn10青銅・鉄基Fe-Cu・ステンレス316L

3つの系統が3つの使用域に対応します。系統を間違えると、パラメータの微調整より影響が大きくなります。

系統代表グレード特長向く条件
すず青銅 CuSn10(90Cu-10Sn)SAE 841 / MPIF CT-1000 / ASTM B438 Gr1 Type2 / DIN 1850 / GB/T 5143低摩擦・耐食・熱伝導良好・異物を埋め込む中高速、軽中荷重、低騒音
鉄基 Fe-Cu(-C)MPIF FC系 / ASTM B439高強度・低コスト・耐摩耗中低速、重荷重、衝撃小
ステンレス316Lステンレス基焼結材耐食・衛生性湿潤、食品、化学、医療

CuSn10は最も汎用の含油青銅で、組成は約90%銅に10%すず、密度は一般に6.4-6.8 g/cm³です。同じ材料でも標準ごとに呼び名が変わり、SAE 841、MPIF CT-1000-K26、ASTM B438 Grade 1 Type 2、DIN 1850、GB/T 5143は同じ系統を指します。鉄基は密度5.6-6.6 g/cm³、圧壊強度は200 MPa超まで対応でき、代わりに摩擦係数と騒音がやや高くなります。

焼結含油軸受の主要性能:含油率・気孔率・密度・圧壊強度・PV値

各パラメータはトレードオフの関係にあり、1つだけを最大化することはできません。

  • 含油率と気孔率:青銅の気孔率は一般に19-25% vol、含油率は18-25% volです。気孔率が高すぎると強度が下がり、低すぎると油が不足します。業界の広い範囲では気孔率10-25%、含油率は体積比8-35%とされます。
  • 密度とラジアル圧壊強度:密度が高いほど強度は上がり含油率は下がります。青銅は圧壊強度150-200 MPa、鉄基は200 MPa以上、硬さは青銅でHRH 45-60が目安です。
  • PV値・摩擦係数・回転数・温度:青銅の連続PV上限は約1.6-1.8 N/mm²·m/s、許容すべり速度は6 m/s以下、摩擦係数μは0.05-0.15です。使用温度は鉱物油で-20から+120 ℃、合成油で-35から+150 ℃で、上限を決めるのは油です。

高速では低含油率(約12-15%)、重荷重では高含油率(約20-25%)を選びます。含油率と回転数は逆の関係にあり、このルールが最も見落とされます。

粉末冶金含油軸受の設計選定:軸嵌合・すきま・荷重・回転数・温度

選定は4つの検証で進めます。いずれも確認できる数値に対応します。

  1. PV値を計算する:単位荷重(N/mm²)にすべり速度(m/s)を掛け、材料のPV上限内に収め、安全率を残します。
  2. 軸の条件を決める:硬さHRC45以上、粗さRa 0.2-0.8 μmが目安です。粗すぎると摩耗し、滑らかすぎると油膜が乗りません。
  3. すきまと締め代を合わせる:外径の締め代はサイズ帯ごとに選び、油膜形成のための最小すきまを確保します。
  4. 温度を確認する:油の上限を超える場合は合成油か耐熱材料に切り替えます。そのままだと油の流出が早まります。

長さと内径の比L/Dは1から1.5に収めます。

製造工程:混合 → 圧縮成形 → 焼結 → サイジング → 真空含浸

気孔構造は最初の4工程で決まります。混合は成分の均一性、圧縮成形は成形体密度、焼結は気孔の連通と強度、サイジングは寸法と公差を決めます。炉側の条件は焼結工程:温度と雰囲気制御、プレス圧力と金型は圧縮成形プロセスの解説を参照してください。

真空含浸は最後の重要工程です。部品をかごに入れて油槽に浸し、真空で気孔内の空気を抜き、大気圧に戻して油を押し込みます。油は条件で選び、鉱物油は-20から+120 ℃、合成油は+150 ℃まで、重荷重には耐摩耗添加剤を使います。供給できる形状は精密金属部品の製品一覧で確認できます。

検査と受入:密度・含油率・圧壊強度・金属組織・三次元測定

受入検査は形式ではありません。5つの項目が、部品を組立ラインに送れるかどうかを決めます。

検査項目方法一般的な値
密度アルキメデス法青銅 6.4-6.8 g/cm³
含油率質量法/体積法19% vol以上(青銅)
ラジアル圧壊強度圧壊試験青銅 150 MPa以上
金属組織と気孔光学顕微鏡気孔の分布と連通
寸法と幾何公差三次元測定機(CMM)図面基準に準拠

密度はアルキメデス法が最も直接的な緻密化の指標です。含油率は質量法から換算し、含浸が目標に達したかを示します。グレードと数値はMPIF材料標準の自潤滑軸受の表と照合してください。

代表的な用途と故障対策:家電・自動車・電動工具

家電モータは含油軸受の最大の用途です。エアコン送風ファン、洗濯機、ジューサーのモータが、低騒音と無給油のためにこれを使っています。自動車ではワイパーモータ、シートモータ、小型ポンプ、電動工具ではドリル、電動のこぎり、アングルグラインダに使われます。世界の粉末冶金市場の品目構成でも、軸受は出荷量の多い製品群です。

2024年、ある電動工具メーカーでアングルグラインダの軸受焼き付きが続きました。分解すると、鉄基グレードのPV余裕が足りず、使用荷重が上限に近づいていました。Fe-5Cu-3Gr-2MoS₂の配合に変えたところ、PVは2.5から4.0 MPa·m/sに上がり、返品率が下がりました。

現場の故障は5つに集約でき、対策はそれぞれ異なります。

  1. 油切れ:高温や粉じんの多い条件で油が抜けます。合成油か高含油率グレードに変えます。
  2. かじり:軸が粗い、または油膜が切れています。軸粗さとPV余裕を確認します。
  3. 圧壊:締め代か荷重が過大です。高密度の鉄基グレードに変えます。
  4. すきま過大:組付けの押し込みかサイジング不足です。外径公差を詰めます。
  5. 組付けミス:圧入は外輪のみ、溶剤洗浄は行わないこと。洗うと油が抜け、すぐに故障します。

粉末冶金含油軸受のサプライヤー選定とカスタム相談

サプライヤー選びは、工程チェーンの完成度とデータの信頼性を選ぶことに他なりません。

初回相談で5つの条件を用意すると、見積りが速くなります。軸径と公差、回転数、荷重の方向と大きさ、運転方式(連続か間欠か)、周囲温度と雰囲気です。

工程チェーンが揃った製造元は、混合・プレス・焼結・サイジング・含浸・検査を1拠点で行うため、責任の所在が明確で納期も管理しやすくなります。検査体制は品質管理と検査体制を参照してください。

結論:条件・材料・組付けをそろえる

正しく選ぶ鍵は、条件・材料・組付けをそろえることです。条件は材料の限界内に収め、PV値・回転数・温度を確認します。材料とパラメータは組み合わせで決まり、中高速と低騒音は青銅、重荷重低速は鉄基、含油率は回転数と逆に調整します。組付けも重要で、外輪のみを圧入し、洗浄せず、適切なすきまを残します。

条件・材料・組付けがそろえば、無給油という約束は実際に機能します。サンプルと能力リストが必要な場合は、使用条件のデータをお送りください。図面に基づき、材料の推奨、含油率のプラン、サンプルの納期をご提示します。御嘉鑫にサンプルを依頼する。